不動産の価値担保のために実施される土壌汚染調査
不動産の価値を正確に把握し、以降の取引を円滑に進めるために、不動産会社は該当する土地に対して綿密な調査を実施するのは業界常識といえるでしょう。登記上必要となる測量値など物理的状況だけでなく、その土地の価値を保証する目的で、土壌汚染対策法によって定められた物質による土壌汚染の状況把握のための調査が行うケースが増えています。
その土地が安全であることの根拠を示すことで、価値向上や風評被害からの回避を図るのはもちろんですが、万が一、不動産の取引が成立した後、開発段階に入ってから地中から有害物質が検出されたら、大きな問題に発展しかねません。場合によっては、不動産を販売した業者の責任が問われ、巨額な対策費用や工事遅延の保証金などを負担しなくてはならないというケースが発生する可能性もあるため、土壌汚染調査は必要不可欠の要素といっても過言ではないでしょう。
ケーススタディ
ケーススタディ
住宅造成予定地の土壌汚染調査
当社に依頼があったのは、住宅地として造成される計画が持ち上がった広大土地。現在は、雑木林となっており、これまでに特定の目的で使用されているような形跡はまったくありませんでした。しかも該当地に工場があったなどの記録も見当たらないとのこと。問題がないように思えたのですが、この雑木林の川上に当たる地域に戦前化学プラントがあったことが判明したために、調査の必要性を感じたとのことでした。すでに戦後から70年が経過してはいたのですが、化学プラントがあったという事実から生まれる風評被害を防ぐためにも、正しい土地汚染の状況を把握したいとの要望がありました。
まずは土壌汚染対策法の規定に沿って地歴調査を実施。現存する記録を紐解く限りでは、工場で使用されという事実は見つかりませんでした。続いて、第1種特定有害物質に分類されている揮発性有機化合物12種類、第2種特定有害物質に規定される重金属類9種類、そして第3種特定有害物質に分類される農薬等5種類の計26物質に加え、当社独自項目として、油分の調査も実施。必要箇所を100m2ごとにメッシュを切り、各ポイントにてボーリング調査を行いました。